小規模農家の勝ち筋。
データや土地を活用して米の価値を
最大限に高める方法とは?

大森 悦郎さん
大森 悦郎さん

お客様プロフィール

紹介する機能 地力マップ、生育ステージ予測
地域 栃木県
栽培作物 水稲
栽培面積 3ha
従業員 ご本人のみ

銀行員から専業農家へ

ーーまずは農家を始められた経緯を教えてください。

もともとは私自身は銀行に勤めていて、父が農家をやっていたんです。
それで、父が亡くなったことをきっかけに兼業で私がやることになりました。

ーーそこから、専業になられたんですね。

そうですね。 銀行員だったこともあって、節税対策や補助金の利用などで利益が出るように計算したり、専業になった場合にどのくらいの規模が良いかをシミュレーションしたりしたんです。
結果、1人でやるなら3haがベストという結論に達して、銀行を早期退職して専業農家を始めました。

お米のおいしさを見える化する「食味スコア」算出に挑戦

ーー大森さんが、ご自身のお米を売っていくために取り組んだことについて教えてください。

農家にとって、お米を買ってもらうためには差別化が必要なんです。
どこの農家も自分たちの作物には自信を持っていて、「自分のお米が一番うまい」と言うんですけど、それって根拠がないんですよね。
そこで、どのようにその根拠を示すかと考えた時に、お米の美味しさを測る指標として、食味スコアに注目して、出してみることにしたんです。

ーー結果はどうでしたか?

最初の年に出したのが「佐竹のコメドックアワード」というもので、金賞をいただきました。
ただ、食味スコアは79点で、全国レベルでいうとそこまで高いものではありません。
普通のブロードキャスターではどうしても正確に肥料を撒けず、どうしても散布ムラができてしまうんですよ。
佐竹コメドックアワードでの金賞

ザルビオと側条施肥田植機で、食味スコア10点アップに成功!

ーーそれを改善するために取り入れたのが、側条施肥田植機とザルビオだったということですね?

そうです。散布ムラを解消するために、まず商工会の補助金を利用して側条施肥田植機を導入することにしたんです。
施肥田植機を調べている中でザルビオの存在を知って興味を持ち、合わせて試してみることを決めました。

ーー利用した結果、どんなスコアが出たんでしょうか?

それぞれ導入して、違いを測るためにパターン分けして施肥を試しました。
まずは、ザルビオを使わずに側条施肥だけを用いて一定の量で撒いたパターン。これだけでも83点まで上がりました。
そしてもう一つのパターンでは、ザルビオの地力マップを使って、地力の低いところに対して手撒きでの可変施肥を実施した上で、側条施肥を行いました。
結果、出たスコアは89点。もともと79点だったので、可変施肥を行ったことで最終的に10点アップしたことになりますね。

ーー具体的には、どんな方法で可変施肥を実施したんですか?

均一に撒くことは側条施肥でできるので、まず地力マップで地力の低いエリアを調べて、このエリアのこのゾーンに何キロ撒きましょう、というのを計算するんです。
そして、側条施肥では最も地力が高いところに合わせた量で均一に撒くように設定して、それ以外のエリアは足りない分を先に手撒きの可変施肥で補います。
実際にタブレットを持ち込んで、測った肥料を該当の位置に撒いていきました。
こうして精密に全体の地力を均等に高めておくことで、食味アップにつながったんです。
導入した側条施肥田植機

収量を重視したいお米も、ざっくり把握に地力マップ活用

ーー業務用米や飼料用米など、収量をたくさん穫りたいタイプのお米にも、地力マップを用いた手撒きなど実施されるんでしょうか?

収量を重視したいお米の場合は、食味を出したいお米ほど精密にはやりませんね。
でも地力マップは活用して、地力が弱いところには鶏糞や堆肥とかを集中的に撒くようにします。この真ん中のエリアが弱いから、2、3回余計に撒こうという具合に、大体の計算でも大丈夫です。
それだけで、収量は安定するんですよ。

刈り取り、防除時期の見極めにも効果を発揮!

ーー刈り取りや防除の時期の見極めにも、ザルビオを活用されていますか?

ミルキーサマーも作っているんですが、ここで生育ステージ予測を使ってみたところ、黄化率80から90になって刈り取り時期だというのが出ました。
その通りにやってみたら、本当にちょうどよかったですね。

ーー防除の時期はいかがでしたか?

今年は特に暑かったので、出穂の時期が早かったんですが、ザルビオの防除アラートも実際に早かったですね。
ただ、この地域は共同で決まった日にラジコンヘリで農薬散布するので別ではやらなかったんですけど、カメムシの被害が若干出たんです。
ザルビオのアラート通りにやれば、カメムシ被害は防げたかもしれないと思っています。

ーーなるほど。来シーズンからの活用については、何か考えていらっしゃいますか?

刈り取り適期も防除アラートも正確だったので、ミルキーサマー以外のコシヒカリなどの品種にもぜひ活用しようと思っています。
農薬は全てを個人でやると時間も労力もかなりかかってしまいますが、ザルビオのアラートに合わせて一部は自分で撒こうかなと思っています。
防除アラートの画面イメージ

小規模農家にこそ、デジタル化が求められる

ーーデジタル化というと、大規模な農家さんのイメージかと思うんですが、小規模農家さんでも必要だと感じますか?

その通りです。差別化するためには質を高める必要があるし、質が高いことを証明するためには、さっき話したような食味のような数値として見えることが必要になります。
それで、その数値を出すには精密にやることが求められるんですよ。

ーーその精密さを、ザルビオがサポートしているという形ですね。

そうですね。例えば、名人と言われるような人は、知恵や感覚をもとにこの辺を調整しようとか、水の入れ方を変えようとかの判断ができるんですけど、本当に肝となるそういった技術は誰にも教えない。
でも、ザルビオならそれが見えてしまうんですね。
だから、数値で差別化しようという時には、ザルビオは非常に大きな力になります。