生育ステージ予測を活用して、追肥時期を見極める!

合同会社サポート小田
調査圃場を選定

お客様プロフィール

紹介する機能 生育マップ、生育ステージ予測機能、病害予測機能
地域 島根県
栽培作物 水稲
栽培面積・圃場数 120ha / 1200筆

近年の異常気象により追肥時期の目安となる幼穂形成期の把握が難しい

島根県飯南町は、県中南部の中国山地の脊梁部に位置し、標高が高く、約90%が林野という自然豊かな街です。飯南町で農業を営む合同会社サポート小田(以下、同社)は、後継者不足に悩む地域生産者の相互支援を目的に、地域の3農業法人、2営農組合、認定農業者2名、個人生産者20名により令和3年4月に設立されました。

管理圃場は120ha、1200筆にのぼり、コシヒカリを中心に栽培しています。同社は収量よりも品質を重視し、食味が良くなるよう目標収量を抑えた施肥設計や、疎植栽培を実践するなど、こだわりの米作りを行っています。この栽培方法により、台風のような強風でも倒伏しづらく、食味の良い米作りに取り組んでいます。

一方、課題としては管理圃場枚数が多く、近年の異常気象により追肥時期の目安となる幼穂形成期の把握が難しいことから、その解決策を期待してザルビオの導入を決めました。

圃場に行かなくても病害リスクを確認

同社では、ザルビオに日々の作業記録を残すほか、獣害や病害の発生場所をザルビオの地図上にメモし、作業者との共有を図っています。

また、全農島根推進課とアカウント連携を行っているため、毎朝全農職員が約60km離れている事務所から圃場ごとの病害発生予測を確認し、発生の可能性が高い場合はJAしまね飯南営農経済センターへ連絡するとともに、関係機関と連携し病害の被害拡大を未然に防ぐ体制を構築しています。
調査圃場を選定
ザルビオのクロスファームダッシュボード機能で圃場を包括的に確認し調査圃場を選定

ベテラン農家の米作りとザルビオの高精度AIデータの融合

2022年6月にザルビオを導入した同社は、まずザルビオの予測がどれほど正しいのか確認するために、JA、全農、全農アグリウエスト株式会社(肥料メーカー)と一緒に7月下旬(幼穂形成期~出穂期)と9月中旬(収穫期)に、圃場の生育調査を実施しました。

検証事項は、人工衛星解析機能、生育ステージ予測機能、病害予測機能の3つです。

ザルビオは雲がかかっていない日は毎日、人工衛星で圃場の生育マップを取得しています。生育マップは任意の日付を遡って確認することができ、この生育マップを見ることで、生育ばらつきについて一筆毎や地域全体でも経時的に把握することが出来ます。

7月下旬の調査では、1圃場内で3か所、それぞれザルビオの衛星マップで生育の旺盛なところ(緑)、平均的なところ(黄)、遅れているところ(赤)を調査ポイントに選定し、調査を実施しました。調査の結果、実際の生育状況と概ね一致していることが確認できました。

また、田植日は5月3日から5月22日と幅があったにも関わらず、概ねザルビオの予測通りの生育状況であることが確認できました。

満足のいく予測精度

同社副代表の難波氏は「生育予測は思っていたよりも正確だった。病害リスクのアラートは、病害が発生しやすい環境になったということが分かるので、経験値と合わせて圃場を巡回することで、より病害の発生を抑えることにつながった」と満足のいく予測精度でした。
生育マップ
圃場内の生育差が分かる生育マップ。雲のない日は毎日自動更新され、任意の日付に遡って確認できる
また、9月中旬に行われた収穫期調査では、10圃場を調査した結果、精度の高い予測となった地域とそうでない地域が明確に分かれる結果となりました。

ザルビオは現在12kmメッシュの気象データをもとに生育や病害を予測していますが、2023年度中に1kmメッシュへの機能向上が予定されています。

改善後はさらに地域に合わせたピンポイントな予測が可能となり、予測精度の向上が期待されます。

今年度の検証を受けて、同社の難波氏は「次作ではザルビオで幼穂形成期の生育状況を確認し、追肥の判断を行えそう」と確かな手ごたえを感じています。

化学肥料の価格が高騰する中、ザルビオを使って施肥時期に追肥を行うことでの収量増・品質向上が狙えると次年度への期待を寄せられていました。
収穫適期検証結果
西側の地域ではザルビオの予測通りの生育であったが、東側の地域では予測とのズレがあった。【上段:田植日、中段:調査日(9月15日)時点の生育状況、下段:予測との差】予測に使われる気象情報は2023年度中に12kmメッシュから1kmメッシュに変更予定で、これにより精度向上が期待される
収穫期調査
籾の熟れ具合を確認し、ザルビオの予測する収穫期の精度を確認している