ザルビオにおけるマップ機能の違いと使い分け
ザルビオ・フィールドマネージャーでは、圃場の状態を可視化するために複数のマップが提供されています。それぞれのマップには特徴と適した用途があります。
1. 生育マップ(LAIマップ)
特徴
- ザルビオの生育マップは、衛星画像から取得したデータをもとにLAI(葉面積指数)を算出し、圃場内の生育状況を色分けで表示します。
- LAIは「地表面積に対する葉の面積の割合」を示す指標で、値が大きいほど葉が繁茂していることを意味します。

用途
- 圃場内の生育ムラの把握。(マップの相対表示)
- 圃場間の生育差の把握。(マップの絶対表示)
- 追肥や防除などの作業タイミングの判断。
注意点
- 曇天や高湿度などの気象条件により、画像の取得や解析精度が低下することがあります。
- LAIの値は絶対値ではなく、相対表示モードでは圃場内の最大値を基準に色分けされるため、他圃場との比較には「絶対表示」モードの使用が推奨されます。
2. NDVIマップ
特徴
- NDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指数)は、近赤外線(NIR)と赤色(Red)の反射率の差をもとに算出される植生の活性度を示す指標です。
- ザルビオでは、**衛星画像(主にSentinel-2やPlanet社のDove衛星)**を使用してNDVIを算出しています。
- NDVI = (NIR - Red) / (NIR + Red) の式で計算され、値は0〜1の範囲で表現されます。
用途
- 圃場内の生育ムラの検出。
- 病害虫や水不足などのストレス兆候の早期発見。
- 収穫時期の判断目安。
注意点
- LAI(葉面積指数)と異なり、NDVIは飽和しやすい(LAIが2を超えるとNDVIの変化が鈍化)ため、生育後期では差が見えにくくなる
- 土壌の反射率や気象条件によってもNDVI値が変動するため、解釈には注意が必要。
3. クラウドフリーマップ
特徴
- マイクロ波を活用した人工衛星解析技術により、雲や水蒸気の影響を受けにくい画像を生成。
- 曇天や雨天が続く時期でも、安定して更新されるマップ。
- 地上解像度は10mメッシュで、相対的な植生量を色分け表示(LAI値ではない)。
用途
- 曇天・雨天時の代替マップとして活用。
- 生育マップや植生マップの更新頻度が低下する時期の補完。
活用方法
生育マップ、植生マップの更新頻度が低い期間に活用。
直近の生育マップ、植生マップを重点的に見るようにし、可変施肥の基準マップとして利用する際には、用いるクラウドフリーマップと直近の生育マップ、植生マップとの類似性、現地圃場の状況を確認しながら利用する。
注意点
- 解像度は10mメッシュとやや粗く、既存の生育マップ(3mメッシュ)より精度が劣る傾向あり。
- 他のマップと併用し、現地確認を行うことが推奨されている。
機能比較表
| マップ種類 | 特徴 | 用途 |
| 生育マップ | 衛星画像から算出したLAI(葉面積指数)をもとに、作物の生育ステージ(BBCH)を色分け表示 |
生育ステージの確認、防除・施肥・収穫などの作業計画 |
| NDVIマップ | 近赤外線と赤色の反射率からNDVI値を算出し、植生の活性度を色分け表示 | 生育ムラの検出、病害虫の早期発見 追肥の可変施肥マップの基準マップ |
| クラウドフリーマップ | マイクロ波衛星技術により雲の影響を除去した画像を合成し、相対的な植生量を表示 | 雲の影響を受けずに圃場の状況を確認 追肥の可変施肥マップの基準マップ |