赤さび病との苦闘から反収アップへ!
小麦農家が感じた病害アラートの精度と適期防除の価値

株式会社クロップフィールド
川田 透 さん
川田透さん

お客様プロフィール

紹介する機能 地力マップ、生育マップ、病害虫アラート、生育ステージ予測機能
地域 北海道
栽培作物 水稲、小麦、大豆
栽培面積 35ha
従業員 2人

課題は見回りの効率化と病害対策

ーーまず営農の規模と栽培作物について教えてください。

うちは両親と子ども3人を含む7人家族で、父と僕がメインで農作業にあたり、繁忙期には妻も含む3人で臨機応変に役割を分担しています。
主として栽培しているのは米、小麦、大豆で、耕地面積は約35ha。米は15haほど、小麦と大豆は各10haほどで連作障害を避けるため交互に栽培しています。

ーー農業を始めたきっかけは何でしたか?

高校卒業後、すぐに実家で農業を手伝うという選択肢もあったのですが、父の忙しさを見てきたのでその時は気が進まず、職を転々としました。そのうちに自分は組織の中で働くより自由な働き方が合いそうだと分かってきて、28歳で農業に目を向け、父の手伝いを始めたんです。
農作業は大変とはいえイメージ通りの仕事でもあり、昔より農機や手法が発達していたこともあって前向きに取り組めました。以来13年間、父と一緒に働きながら農業のいろはを学んできました。
川田透さん

ーー農業に13年従事する中で課題を感じることはありましたか?

広い圃場を見回る大変さは毎日感じていました。1カ所に時間を取られて他の圃場を疎かにもできませんし、もっと作業を楽にできたらと思っていました。
最近は地域で小麦の赤さび病などの病害が発生していて、病害対策と収量改善も大きな課題でした。

ーー従来、各作物の収量や圃場状況などのデータはどんな形で管理していましたか?

JAから送られてくる出荷量や金額のデータを見て、収量や収益の増減を知るような状況でした。
その情報をベースに、経験に基づいて肥料や播種の量を調整するくらいで、厳密に管理していたわけではなかったですね。

追肥の場所・タイミングの見極めにザルビオの効果を実感

ーーザルビオとはどのように出会ったのでしょうか。

課題を抱えていた時にザルビオを知り、メーカー担当者から説明を聞いたんです。何度か話をして生育マップなどを見せてもらううちに、「見回りの苦労を軽減するのに役立つかもしれない」と感じて約1年前にザルビオを導入しました。

ーー最初はどの機能から使い始めましたか?

生育マップと地力マップです。自分の予測を画面上の生育マップと照らし合わせ、例えばある場所の生育状況が良くないと分かったらそこに追肥する、といった使い方です。
また、それまで「ここは地力が高いだろう」と漠然と思っていた場所が、地力マップを見たら実は地力が低かったという新たな発見もありました。

ーー従来と比べると、追肥の方法はどう変わったでしょうか。

これまでは経験に基づく勘で、生育が悪い場所一帯に広く均等に追肥していました。
しかしザルビオを使うようになってからは、必要なところにしっかり撒き、足りているところは撒かないといった調整ができています。可変施肥に対応した農機は持っていませんが、ブロードキャスターで可変施肥のような効果を狙って肥料を撒いています。
秋小麦の圃場の様子

ーー追肥を行うタイミングについてはいかがですか?

追肥時期は気候によっても年々変わっていて判断が難しいんですよね。例年、自治体による普及指導も受けながら時期を考えていましたが、いつでもサポートを得られるとは限らないのが難点でした。
現在はザルビオがあるので、タイムリーな判断が可能になっています。

ーーザルビオ導入の前後で、コストや作業効率の違いは出ていますか?

圃場を見回る頻度が明らかに減りました。具体的なコストの変化はまだチェックできていないものの、ピンポイントに追肥や防除ができるようになったことで効率が上がったと思います。
今も見回りには行きますが、ザルビオのデータが補ってくれる安心感があり、以前は2時間かかっていたのが1時間に短縮されました。

病害アラートの精度に驚き。収量改善にも目に見える効果

ーー現在よく使っているザルビオの機能は何でしょうか。

病害アラートですね。ザルビオを導入したての頃、まだ赤さび病が出ないだろうと予想していた時期にザルビオでアラートが出たことがありました。半信半疑で圃場に行ったら麦の葉にポツリと斑点が出ていて、ザルビオの精度の高さに驚きました。

ーーそれ以前は赤さび病にはどう対処していましたか?

もともとこの辺りは赤さび病が出ない地域だったのですが、気候の変化で4〜5年前から発生するようになり年々増えています。
「この段階で防除すれば赤さび病は広がらない」という農業試験場のガイドラインでは、散布回数は2回ですが、実際には3回撒くこともあります。しかしそれでは効かなくなってきて、最近は場所によって年4回の防除をしています。

ーー他にも病害虫の影響は受けていますか?

大きな影響は受けていませんが、重要病害の赤かび病はしっかり防除しています。基本的に赤かび病に効く農薬は赤さびにも効果があると聞いているのですが、結果として赤さび病は抑えられず、小麦の収量に影響が出ていました。
自治体からの防除の指導は受けつつも最終的に判断するのは農家です。その状況に困り果てていたため、病害アラートをよく見るようになったんです。
病害リスクを参考に赤さび病防除

ーー病害アラートの活用で、赤さび病の状況は変化しましたか?

最初、中程度の病害リスクレベルを示す「黄色」の表示が続いたタイミングで、赤さび病にも効果のあるストロビーフロアブルを散布しました。今までこの時期は何も防除をしていなかったのですが、ストロビーを散布したことで赤さび病は収まりました。
しばらくして、赤かび防除のタイミングでまた少し赤さび病が発生していたので、今度は赤かび剤(ミラビスフロアブル)と赤さび剤(ミリオネアフロアブル)を混用しました。
すると、次に圃場に行った時には遠目で見ても葉の色がきれいで、赤かび病も赤さび病も全く発生していませんでした。ところが、道1本挟んだ近隣農家の圃場は全面的に赤さび病が広がっていたんです。近隣一体が同じような状況でした。
うちはザルビオのデータを信じて早く対処したことで、目に見えて良い結果を出せました。

ーー当初想定した見回りの回数減少だけでなく、適期防除の実現による被害抑制のメリットもあったということですね。

赤さび病が発生すると収量が格段に落ち、収穫した小麦の品質も低下します。それを考えると、被害の抑制による収量と品質の改善が何より大きな成果ですね。
結果的に、地域平均が7.98俵のところ12.8俵を収穫することができました。これは病害の影響が大きかった近隣農家と比べて2倍近い反収です。効果的な追肥の影響もあったかもしれません。
また、以前は多い場所で1年に4回も防除していましたが、今は年2回で済んでいます。

スマートフォンで使えるザルビオ。操作は1週間でマスター

スマートフォンをメインにxarvio活用

ーー高い反収など良い結果を出したことで、周りの反応はいかがでしたか?

自分の経験を話したらザルビオに興味を持つ農家が増えてきました。地元のJAや農業改良普及センターでも関心が高まっているようです。

ーーちなみにザルビオの操作方法についてはどう感じていますか?

パソコンではなくスマートフォンで操作していますが、申し分なく便利に使えています。
最初はどんな機能が使えるのか分からず手探り状態でしたが、差し迫った課題を解決したかったのもあって、理解するために1週間ほぼ毎日触っていたらすぐ慣れました。必要な機能だけ利用している状態ですが、分からないことは担当者に教えてもらえるのも安心です。
最初は2圃場分だけザルビオを利用してみたのですが、効果が感じられたのと操作も難しくないと分かったので、現在は有料登録をして全圃場をカバーしています。

ーー川田さんご自身が今後ザルビオを活かしてやりたいことを教えてください。

ザルビオを上手に活用すれば、将来的に耕地面積の拡大もできそうだと考えています。それくらい圃場の見回りなど作業の効率化ができているので、今はまず収量の安定化を追求したいですね。