雑草防除がザルビオで変わった!
作業時間75%減に成功した黒大豆・水稲農家

阪東 佑貴 さん
阪東佑貴さん

お客様プロフィール

紹介する機能 雑草管理プログラム
地域 兵庫県
栽培作物 水稲・黒大豆(黒枝豆・黒大豆)
栽培面積 8.5ha
従業員 2人

父と二人三脚で、名産「黒大豆」を栽培

ーー阪東さんの就農の経緯を教えてください。

祖父の代は専業農家で、大きい機械や親戚が集まってワイワイと作業する様子を見ながら、農業にポジティブなイメージを持って育ちました。

代替わりして父は公務員をしながら兼業農家、私は農協や造園の仕事をしていたのですが、父と二人三脚で専業農家をやろうと決め、30歳で就農して今年で16年目です。

ーーどんな作物を栽培していますか?

祖父の代から米と黒大豆で、元々は1ha未満の耕作地でした。現在までに、引退する近隣農家の農地も引き受けながら8.5haまで広げ、黒大豆は2haで、それ以外は水稲です。農繁期には10人くらい雇うものの、普段は2人でやっています。

黒大豆はここ丹波篠山で300年以上作られている名産品。未成熟の状態は黒枝豆と呼ばれ、乾燥させると黒大豆になります。普通の枝豆と比べて味の濃さとコクが特徴で、根強い人気の品種です。米はコシヒカリ、もち米のマンゲツモチ、加工米用のあきだわら、イタリア米のカルナローリを栽培しています。

収入としては米と黒大豆で半々で、黒大豆は面積あたりの収益性が非常に高い作物といえます。

ーー作物の流通経路はどうしていますか?

近隣の若手農家7軒と共同経営している会社に出荷する他、産地直送品のECサイト「食べチョク」や、自分のウェブサイト「耕しや」のオンラインショップなどを通じて販売しています。販売品は黒枝豆、黒大豆、米、黒豆味噌などです。

この辺りは冬に雪が多く野菜の露地栽培が難しいエリア。そこで祖父母が作っていた自家用味噌にヒントを得て、冬の仕事として黒大豆を使った味噌づくりを8年前から始めました。

変形やしわが出たB品の黒大豆も味は変わらず、味噌にすると白大豆とは違う甘みと味の深みが出て、ECサイトでも注目されています。
「耕しや」のオンラインショップ(画像提供:耕しや ホームページ)

ーー伝統ある作物を栽培しつつ、合理的な営農を探求しているんですね。作付の区画やスケジュールについて伺えますか?

連作障害を避け、2年連続で黒大豆を作った場所は翌年は水稲に転作し、3年周期のローテーションを組んでいます。

毎年3月から畦塗り、水稲の播種・育苗と続き、5月中は時間差で各品種の田植えを進めます。5月下旬からは黒大豆の圃場づくり、6月は育苗と直播を行い、その後は水稲の水管理に、黒大豆の移植や2〜4葉期の雑草防除も続きます。米と黒大豆を収穫する秋が最大の農繁期です。

少人数体制だからこそ効率化したい雑草防除

ーー普通の枝豆と黒枝豆の農作業はどう違いますか?

黒枝豆は草というより木のような作物で、幹の太さが3センチほどあるので収穫は普通型コンバインではなく1株ずつ太枝切りバサミで手刈りです。

従来は枝付きでの販売が主流でしたが、最近は流通技術・機械の発達によりサヤ売りが増え、うちもサヤのみで出荷しています。
黒大豆の脱粒作業の様子(画像提供:耕しや Facebook)

ーー特に負担が大きい作業は何ですか?

難防除雑草は毎年の課題です。初期はブームスプレーヤーで除草剤を撒き、作物が大きくなってきたら動噴を背負って畝間を歩きながら撒いていました。

7〜8月の炎天下なので作業負担が大きく、2人体制で父は72歳ですから作業の効率化は大きな課題でした。

ーーしかも、農地を年々拡大してきて作業量は増えていますよね。

そうですね。その上、従来の防除暦通りには作業がしにくくなっているとも感じています。「大豆の3葉期までにこの除草剤を撒く」という指針があっても、耕作規模が大きいので圃場によって生育状態は違うんです。

異常気象の影響も顕著で、温度が違えば従来の防除の常識が通じない状況もあります。就農以来、周りの農家や専門家の意見を聞き、経験を蓄積しながら雑草防除の方法を探求してきましたが、だんだん正解が見えなくなってきていていました、

一度リセットして客観的な視点を取り入れたいと思っていた時、ザルビオと出会いました。

ーーザルビオを知ったのは何がきっかけでしたか?

昨年、近隣の農業組合で吊り下げノズルを使ったブームスプレーヤーの除草剤散布とザルビオの活用についての研修会があり、雑草防除をしっかり研究しているメーカーが推奨するやり方から何かを学べたらと思って参加したんです。ザルビオの操作はこの時が初体験でした。

ーー使ってみて、ザルビオのどんな点に惹かれたのでしょうか。

播種や移植の日付を入力すると、圃場の状況に合わせてAIが計算してくれて、「◯月◯日にこの薬剤はどうですか?」といった提案をしてくれるんですよね。面積や気温などに応じた個別の悩みに寄り添ってくれるツールだと感じ、導入しました。

難防除雑草の防除に効果てきめん。ザルビオ導入で作業が75%減

ーー導入後、作業はどう変わりましたか?

圃場ごとに防除に適した日にちがザルビオで提示されたので、それを信じて吊り下げノズルで除草剤を散布。以前は土寄せ後に雑草が生えてから茎葉処理剤を撒いていましたが、ザルビオの推奨に基づき土寄せ前に撒きました。

最初は疑心暗鬼でしたが、雑草の芽が出る頃に防除したので伸びる間もなく枯れていたんです。例年なら収穫期に豆と同じ丈に育っていた雑草が、確かに抑えられていました。
黒大豆の雑草防除作業。ブームに吊り下げノズルを装着している。(写真提供:阪東 佑貴 様)

ーーご自身の実感としてはいかがでしたか?

以前は背負いの動噴で1日あたり1人3反が限界で、それを2人がかりで2週間かけて行っていました。

しかしザルビオを使い始めたことで吊り下げノズルで効果的に1日6反できるようになり、しかもかかる人数は半分。結果的に作業時間が4分の1に短縮されました。

さらに刈取り作業で目視の妨げとなる雑草や黒大豆に覆い絡みつく雑草も抑えられたために、作業員のストレス低減と収穫時間の短縮にもつながりました。例年に比べて、1~2割ほど時間が縮まりました。

暑い日に動噴を背負って作業をするのと違い、体力・気力に余裕も生まれましたね。
ただ収量は決して多いとはいえず、土作りの課題も明らかになりました。

ーー近年の収量の傾向はどうだったのでしょうか。

就農当時と比べて黒大豆の収量は明らかに落ち、従来は日に150キロ採れていたのが、ここ4〜5年は100キロ。売り上げも3分の2になっています。

この辺り一帯で黒大豆も水稲も平均収量が下がっているので、土の養分の低下に加え、過酷な気候の影響もあるでしょう。

昔は耕作にトラクターでなく牛を使っていたので、牛糞を鋤き込むのが一般的でした。現代では牛糞堆肥を入れるにしても、農業が大規模化した分その作業負担も甚大という現実があります。

ーー現在、堆肥はどんなペースで入れていますか?

基本的に黒豆の栽培前だけ、3年に1回堆肥を入れている状態です。耕作地が広いので一発肥料になりがちで、穂肥まで手が回りません。

黒枝豆の繁忙期の影響で稲藁の鋤き込みも晩秋になりやすく、既に寒いので腐熟には不安があります。黒大豆も米も作業の効率化・省人化が焦点ですね。

農地を引き継いでいく思いと葛藤

阪東佑貴さん

ーー農業の「これから」をどう見ていますか?

丹波篠山は黒豆のブランド力のおかげで農家を経営しやすく、農業を継いだ若手が多いです。その一方、高齢によるリタイアも多く、空いた田んぼが耕作放棄地にならないよう若手農家で少しずつ引き受けています。
そうはいっても私の場合だと豆は2haが上限だと感じていて、それ以上の拡大は水稲にシフトする必要があります。

ただし、水稲は機械や建屋などに設備投資を要する作物のため、規模拡大は収支のバランス次第です。最近は農機の値上がりもシビアですし、若手農家の面積拡大はあと1割が上限といったところです。

ーー阪東さんの営農のビジョンをお聞かせください。

地域の農家と知を共有しながら発展していくには、農業法人や生産組合の関わりも重要です。ザルビオのような新技術も活かして、事業継承や持続可能な農業が実現しやすくなればいいなと思います。